大切なのは経過観察
「経過観察」という言葉をご存じですか? 経過観察とは、患者さんの状態を注意深く見守ることを指します。矯正治療で大切なのは急いで治療することではありません。治療の前後を問わず患者さんの状態を注意深く見守り、ベストなタイミングでベストな処置を行うことが大切なのです。以下では、その経過観察についてくわしくご紹介していきます。
よく子どもの矯正治療は早めがいいと言われますが、これには語弊があります。一部の症例(奥歯が交叉しているなど)を除き、急いで治療する必要はありません。また子どもの場合は下顎が出ていることもありますが、成長過程で自然と治ることもあります。自然に治らない場合は治療を検討しますが、いずれにせよ経過観察が重要なのです。治療を受ける受けないにかかわらず、まずは永久歯が生える6~8歳ごろに一度相談されることをおすすめします。
なかには外科手術などを伴う症例もありますが、下手に行ってしまうと歯並びだけでなく骨格にまで影響が出てしまうことがありますから、慎重に検討されたほうがいいでしょう。
矯正治療で歯並びを整えても、歯は元の位置に戻ろうと動いてしまいます。これを防ぐために保定装置を2年ほど装着していただきます。保定期間が終わってからも注意が必要です。やはり歯の後戻りのリスクもありますし、せっかくきれいに整った歯並びが虫歯や歯周病になってしまってはもったいないですよ。そこで重要なのが定期検診です。定期的にお越しいただくことでお口のなかをチェックでき、リスクを考慮したメインテナンスを行うことができます。
歯は一生をともにするパートナーです。ですから、当院では矯正期間・保定期間が過ぎたら終わりというぶつ切りの治療は行いたくないと考えています。矯正治療終了後は治療評価や今後の方針についての資料をおわたししますので、いつまでもきれいで健康なお口を保つために、二人三脚でがんばっていきましょう。